【2013年5月16日に書いたブログを再編集の上、再掲しています。】
以前、わたくしめの運転免許取得の様子をブログに書いたのですが、
あれからはやくも四ヶ月ですか。私、車の運転、しております。
2トン軽トラック。
教習車、
からの、
2トン軽。
ホップ、ステップ、ジャンプ。
そんなものなかったよね。
大砲で大空へ撃ちこまれて、直に天国への扉に体つきささったよね。血まみれだよね。
前後に初心者マークを貼り走るトラックが、住民のかたがたにどれほどの恐怖と不安をあたえたかは想像にたやすいところですが、運転してる本人もそれに負けず劣らず、まいにち恐怖と不安のショータイムでした。
ですが今では、大抵最低一日一回は車を運転しています。ひとりで運転して現場にも向かいます。
ときどきひやりとしながらも、まだなんとか、命生きながらえています。
ならうより慣れろ、ってこれかも!
とはいえ、まだ本格的に車の運転をはじめて一ヶ月にも満たない訳です。
軽減はしましたが、車への恐怖心もまだまだ課題。
なので、ひとりで現場に向かうときはかなりゆっくり時間を取って、早めに行くようにしています。
◆
今日も、集合時間の一時間半前に会社の駐車場にて、車に乗り込みました。
渋滞さえなければ三十分で着く、直線道路の先に現場はあります。
時間が早いのもあったのか、さいわい混まずスムーズに進んでいました。暑すぎない気温。ラジオからは軽快な音楽が流れ、眠さはあれど、心地よく車を運転していました。
すると七時ごろ、携帯が鳴りました。
着信を見ると、先輩の名。
運転中なので取れないでいると、五分後にもう一回。
その時点でもう現場の側だったので、現場に着いてから電話を折り返すことにしました。
現場近くのスーパーの駐車場に停車し、先輩に電話をかけ直しました。
この時点で、時計は七時十五分。
私「おはようございます」
先輩「あ、おはよう。今どこにおる?」
私「駐車場です」
先輩「おお、じゃあ会社の前で待っとくわ」
………ん?
私「会社まで折り返すということですか…?」
私が発したこの台詞から、ふたりに緊迫感が走りました。
先輩「…え、え? 今、どこ? 会社の駐車場やんな?」
私「現場です」
先輩「…え?」
私「現場、着いてます」
パズルのピースがはまる音。
先輩「……今日は一緒に行くって、昨日言ったよな?」
私、とてもうっかりものです。
忘れものとかね、しょっちゅうする。
チェックリスト作っても、まずチェックリストに書くの忘れてる、とかザラにやる。
だから、かなりね、準備したりとか、確認したりとか。気を付けるようにはしてるんですけど。
先輩を会社に忘れてきたよね。
作業開始まで四十分の余裕があったから寝不足だし車で寝ようと思ってたんだけど、寝るとか無理だった。
いやいっそのこと、永遠の眠りにつきたかった。
「…別の車さがして行くから…」という先輩の声を最後に切れる通話。
ツーツーと無情でつめたい音が響く車内。
ぽつんと残された私。同時に(先輩を会社に)残した私。
道具を忘れる、作業を忘れる。
まだそこらへんは自分自身の予想も手が届く範囲だけど、まさか会社の先輩を忘れてくる日がこようとは思ってなかった。
チェックリストにもちろん、「先輩」の項目はない。
それからは気が気ではなかった。
とりあえず着いたらやる作業をやったあとの時間はすべて、いかに謝るかシュミレートに費やした。
別の会社のかたに励ましてもらい既に半泣きになりながら、先輩の到着を待った。
結局、
「遅刻してくるよりマシだよ~」
と許してもらえて(さいわい代えの車もありました)、事なきを得たのですが、
四ヶ月前、
「私も勇者になりたい!」と言っていたひとりの駆け出し勇者見習いだった私も、多少なりと勇者に近付いているような、そんな気がしました。
ひとまず、朝八時、つよく一日の幕開けを照らすまぶしい光の中、大泣きしながら「本当にすみませんでしたああ」と謝る光景は、人生において記憶に残るステージになりそうです。
一秒でも早くデータバグってすべて消えたらええのに、と願わずにいられません。
【追記】
新卒ポンコツシリーズ。厳しかったけどとてもいい先輩でした。